死後に起こる変化の一つに腐敗現象があり、これらの現象は死亡直後から時間の経過と共に進みます。
ご遺体に現れる死後の変化は、早期と晩期(末期)に分けられ、特に晩期(末期)には腐敗による臭気(腐敗臭気)、変色(腐敗性変色)、腐敗ガスによる膨張などがあります。
これらの腐敗現象は酵素や細菌などによって起こり、発現すると残念ながら元に戻すことはできません。
腐敗によって変化した故人様のお姿を目にされるご遺族の精神的なご負担も大きく、後に行われるご葬儀自体にも影響を及ぼすことからも、ご遺体の状態に適した冷却による状態管理による腐敗の抑制は重要となります。
一般的に人間の死亡後の体内温度降下には差はあるものの、通常1時間に約0.5℃~1℃しか降下しません。たとえば外気温が20度と設定した場合、生前36℃前後あった体内温度が外気温と同じぐらいになるまでの時間はおよそ20時間以上かかるわけです。それはつまり、細菌や酵素が最も活動しやすい環境が10時間以上続くという事になります。
腐敗には「劇症型」のものもあり死亡後数時間で急激に腐敗が進行する場合もありますので細菌や酵素の活動を出来るだけ早く抑える必要があるのです。 もちろん死後の変化の進行度には個人差があり、生前からの疾病の有無、体格、栄養状態、環境温度・湿度、経過時間などが関係しますが、適切な冷却による状態管理の必要性にはなんら変わりはありません。