遺体美粧衛生から「葬儀関係者の皆様」へのお願い

葬儀関係者の皆様に知ってほしいこと

葬儀社には昔から素手でご遺体と接することを美徳とする風潮があり、現在でも根強く残っています。現状、予防ではなく対応することが多く儀式を行うにあたり不安を抱く葬儀社職員も多いようです。

「細菌やウイルスなどの病原体が原因となる感染症には人から人へと感染するものもあり、その対処には感染症に対する正しい知識と対策が必要となります。患者や病原体保有者と接する医療従事者は、感染症や病原体について専門的な知識と予防策を身につけ一人一人が注意し、現場において活用し制圧に努めなければならない。」とあります。

こういった考えは日常的に様々なご遺体と接する葬儀社にも求められます。
感染に対する誤った対応はご遺族や関係者はもちろん職員自身の感染事故にも繋がります。

  • 搬送、安置、納棺、湯灌、お着付け、死化粧等ご遺体に接触する際にご遺体に関する情報がないまま業務を行うことがありませんか?
  • 病院や自社の業務別に担当者からの引き継ぎは?
  • グローブの着用など、業務別の感染対策は徹底されていますか?
  • 医療機関からの説明がなく死亡診断書を見て慌てて対応を始めるケースなどありませんか?

グローブの着用などの対策は死亡診断書やご遺体の状態を見られ判断されている葬儀社が多いようです。しかし死亡診断書や検案書では全てはわかりません

また目視では体内の状態や感染症の有無、血液・体液・排泄物等の流出及び侵出がどのご遺体から、どの部位から、いつどのように起こるか、を見分けることは出来ません。 そのため葬儀社職員は自身だけでなくご遺族をはじめかかわる全ての人を感染からお守りしなければなりません。 感染はご自身だけでなく、家族や友人など多くの人に広がる恐れがあるため業務上、感染予防対策は必要不可欠であると考えられます。

実際の葬儀現場での感染の危険性がある事例

  • 納棺の際、お着付けの最中に鼻・口腔からの血液、体液の流出。
  • 皮膚に触れた時に湿性の体液に接触
  • お式の際中に体液が流れでた
  • 清拭を行った際に布に体液が付着した
  • 湯灌の際に気付いたら出血していた
  • 布団を捲るとどこからか体液が流出しお着物や布団が汚れていた
  • 搬送中、安置中、納棺後に出血が起こり止まらないなど

これらはご葬儀までの間に葬儀社職員が実際に対応にあたった事例です。
当社でもご処置の際に複数の部位から出血していたケースがあり、故人様が肝炎を罹っていたことを後に聞いた経験があります。もし感染対策をせずにご遺体と接触していたら感染事故につながる危険な事例です。
葬儀の領域には感染に関する専門の知識や情報が入ってこないのが現状で、結果として搬送業者を含む葬儀社では感染事故に対する意識も非常に低く、感染に関して無防備といえます。
「病院でしてくれているハズ」「葬儀社でするだろう」と医療機関と葬儀社の間にズレや誤解があり引き継ぎがされていないことも原因の一つと考えられます

感染事故を防ぐために以下のことに気を付けてください

  • 搬送、安置、納棺、湯灌、お着付け、死化粧等ご遺体に接触する際にご遺体に関する情報がないまま業務を行うことがないようにする。
  • 業務別に担当者がかわる際の引き継ぎをきちんとする。
  • グローブの着用など、業務別感染対策の徹底、統一、実施。
  • 医療機関からの説明を出来るだけ受ける。

葬儀領域における環境衛生面の充実は安全性の向上だけでなく社会における信頼性を向上させる上で今後取り組むべき重要な課題です。

遺体の状態チェック表のご提案

状態チェック表医療機関に比べて搬送業者を含む葬儀領域では感染事故に関する意識も非常に低く、感染対策が充分に備わっていないのが現状です。当社はその現状を変えていくべく、遺体に関する情報を葬儀社に引き継ぐ方法(資料)として、医療器具の抜去痕、外傷、褥瘡等を含む全ての創傷、生前からの感染症の有無など遺体の状態がわかる「状態チェック表(感染予防チェックリスト)」を提案し、各分野にご協力を求めてまいりました。

その活動の結果、現在「日本赤十字社和歌山医療センター」や「和歌山県警」などを始め、地域医療を担う須佐病院などのいくつかの医療機関でご理解いただき、採用されています。それを受けて、導入を検討している医療機関も増えています。また、チェックリストの導入をきっかけに、「死後の処置」の見直しと共に、葬儀社、搬送業者に対して「院内でのグローブの着用」の義務づけをはじめられた医療機関もあります。

状態チェック表(感染予防チェックリスト)の導入は、感染予防対策上、有益な情報となりますので今後も各分野にご理解いただき、ご協力をいただけますよう活動してまいります。

□状態チェック表の使い方
状態チェック表は個人情報保護の観点から、死亡診断書と共にご遺族にお渡しください。 内容についてはご遺族がいらっしゃる所で葬儀社(搬送業者)に説明し、きちんと引継ぎを行ってください。

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