遺体美粧衛生から「医療関係者の皆様」へのお願い

医療関係者の皆様に知ってほしいこと
故人様を感染源にしないための死後処置を

「死後、ご遺体からの血液、体液の流出は起こり、感染の可能性はあります」

ご遺族はご自分のことのように故人様の血液や体液を拭います。もちろん葬儀社でも対応されますが葬儀社の職員は血液、体液の流出が起こることは経験的に知っているだけです。 医療従事者のように感染予防対策上の知識や対策は葬儀領域では持たないと考え安易に委ねず死後の処置を行ってください。

当社でも処置の際に故人様が生前より感染症に罹患し、死亡診断書に記載されていたにも関わらず、死後の処置が一切されておらず、複数の部位から出血していたケースを確認しております。これはご遺族や葬祭業者の感染事故に繋がる危険な事例の一つです。

ご遺族や葬祭業者は医療関係者ではない一般人なので感染に関する知識はありません。

ご遺体は目視では血液、体液、排泄物等の流出及び侵出が、いつ、どの部位から、どのように、どれだけ起こるものなのかを見分けることが出来ないため、全てのご遺体に適切な死後の処置が必要となります。生前の感染症の有無に関わらずご遺体からの血液、体液、排泄物には感染の可能性があるものとして衛生処置を施す必要があります。

搬送時の車の揺れや帰宅先が、マンションであったり自宅の3Fのお部屋にお連れしなければならない、狭い階段でストレッチャーが使えないなど病院のように平行移動ができないケースがしばしば見られご遺体を抱きかかえたり、傾斜させることがあります。

実際に、ご帰宅までの搬送中に血液、体液の流出が起こり病院に引き返したケースもあります。

詰め物について

高分子吸収剤を詰め物の代わりに使用される病院も増えておりますが、高分子吸収剤だけでは詰め物の代わりにはなりませんのでご注意ください。
高分子吸収剤の吸収性は非常に優れ液体状での流出は防げますが、吸収剤自体が鼻腔・口腔から押し出されるケースもあります。さらに、ゲル状の経管栄養剤はほとんど吸収されていなかったという事例の報告もあります。

上記のような理由から、高分子吸収剤を使用した後も、綿花による詰め物をしていただくのがベストです。 故人様からの血液や体液(高分子吸収剤を含む)の流出は目にしたご遺族のお心を痛めることからも適切な処置は重要です。

また、故人様の血液、体液、排泄物の流出が起こった場合でもご遺族はご自分のことのように対応されることからも、感染事故に繋がる可能性が考えられます。

こういったことからも吸収剤の使用に加えて綿花による詰め物を必ず並行して行ってください

医療器具は必ず病院で撤去してください

胃ろうや腸ろうに伴う器具や、ペースメーカー、ギプスなどの医療器具は必ず病院で撤去してください。ストーマ用パウチなどは、福祉用具ですので新しい清潔なものに交換してあげてください。

ペースメーカーは破裂の可能性があり火葬場の職員の負傷や炉の損傷にも繋がることから各都道府県、各市区町村で対応が異なります。
また地元の火葬場での対応が可能であっても、ご遺族の希望によりご葬儀を他の地域で執り行うこともあります。これらは病院を出られた後に決まることですのでペースメーカー等の医療器具は病院を出られる前に抜去していただく必要があります。

また葬儀社を含む一般ではペースメーカー等の医療器具は取り出せないため火葬場から病院への問い合わせや苦情もあるようです。

火葬場の対応に関わらずペースメーカー等の医療器具の抜去は病院での死後の処置の際にお願いします。

葬儀社の実情

葬儀社は儀式の専門家であり、ご遺体の管理や感染対策は専門としていません。
ですので、通常、ご遺体の状態の確認及び処置を事前に行うこと自体なく、感染症の情報や出血を確認して慌てて対応することも見られます。

現在も素手でご遺体と接することを美徳とする風潮が残っており、出血傾向にあるご遺体に、医師からグローブの着用を指導されたにも関わらず、グローブの着用を拒否した事例も報告されています。

また葬儀社ではご遺体から血液、体液、排泄物の流出、侵出が確認されても感染よりも汚れに意識がいくようです。
予防ではなく対応している葬儀社が多いのが現状です。

「病院でしてくれているハズ」「葬儀社でするだろう」と医療機関と葬儀社の間にズレや誤解があり引き継ぎなどの連携が不十分であることも原因の一つと考えられます。

感染予防チェックリスト

状態チェック表医療機関に比べて搬送業者を含む葬儀領域では感染事故に関する意識も非常に低く、感染対策が充分に備わっていないのが現状です。当社はその現状を変えていくべく、遺体に関する情報を葬儀社に引き継ぐ方法(資料)として、医療器具の抜去痕、外傷、褥瘡等を含む全ての創傷、生前からの感染症の有無など遺体の状態がわかる「状態チェック表(感染予防チェックリスト)」を提案し、各分野にご協力を求めてまいりました。

その活動の結果、現在「日本赤十字社和歌山医療センター」や「和歌山県警」などを始め、地域医療を担う須佐病院などのいくつかの医療機関でご理解いただき、採用されています。それを受けて、導入を検討している医療機関も増えています。また、チェックリストの導入をきっかけに、「死後の処置」の見直しと共に、葬儀社、搬送業者に対して「院内でのグローブの着用」の義務づけをはじめられた医療機関もあります。

状態チェック表(感染予防チェックリスト)の導入は、感染予防対策上、有益な情報となりますので今後も各分野にご理解いただき、ご協力をいただけますよう活動してまいります。

□状態チェック表の使い方
状態チェック表は個人情報保護の観点から、死亡診断書と共にご遺族にお渡しください。 内容についてはご遺族がいらっしゃる所で葬儀社(搬送業者)に説明し、きちんと引継ぎを行ってください。

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